栄養週期栽培の施肥の特徴

■無肥料出発
  野生植物では、貧栄養で厳しい環境に置かれた植物は根が発達します。少ない栄養分を獲得するために根を伸ばします。栄養週期栽培では、このような植物の性質を利用して、発育の初期に貧栄養な環境におき、根を発達させ厳しい環境に耐えられるように育てます。これを無肥料出発と呼んでいます。無肥料出発は具体的には「作物の発芽期や萌芽期に即効性の窒素を与えない」ということを意味します。カリ、リン酸、遅行性の窒素については、与えても良いとしています。
  これにより、少ない肥料でも健康に発育していく素地を作ります。

■施肥とその時期
  栄養週期栽培では、作物にとっての必要性を考慮しながら肥料を与えます。体を大きくするのに効果がある肥料、実をつけるのに効果がある肥料は違うと考えていますから、作物の発育の時期に応じて肥料の与え方を変えていきます。栄養週期栽培でなくても、発育の時期に配慮して施肥を行っている栽培は個別には行われていると思いますが、一般的ではありません。
  栄養週期栽培では、上記のとおり栄養素によって効果が異なると考えていますので、配合肥料は注意が必要となります。配合肥料の場合、効果が異なる栄養素が含まれている場合がありますので、与えないほうが良い時期に栄養素を与えてしまうということが起きてしまいます。このため、栄養週期栽培では単肥を使うことが多くなります。
  具体的には、栄養週期栽培では、体の生長と成熟の観点から、主要な栄養素の働きと施肥の時期(発育段階)を大雑把には以下のように位置付けています。

○窒素:栄養生長を促す。栄養生長期に与える。
○リン酸:花芽の分化、受精、成熟を促す。交代期を意識して与える。 
○カリ:果実、体の成熟を促す。交代期の末期から生殖成長期に与える。
○カルシウム:果実、体の成熟を促す。交代期の末期から生殖生長期に与える。
         仕上げの栄養素。

  それぞれの栄養素の機能はこの他にも様々であり、このように単純ではありませんが、大まかに栄養週期栽培では窒素が栄養生長に強く働き、リン酸、カリ、石灰は生殖生長に効果を発揮すると考えています。ただし、相互の関係により効果が変化する場合もあります。たとえば、カリは窒素が多い状況と、少ない状況ではその働きに違いが生まれ、窒素が多い状況では栄養生長を促進します。
  栄養週期栽培では、栄養生長を抑制し、生殖生長にうまく転換することを意識していますので、窒素を少なめにして、リン酸、カリ、カルシウムを発育の時期に応じて有効に使うということが行われています。
  なお、微量栄養素を含むその他の栄養素については、「微量栄養素と施肥設計」(恒屋2017)に記されています。

《参考文献》
恒屋棟介. 2017.「微量栄養素と施肥設計」(新装版) .日本巨峰会.
                              (初版は1955年)